生存基盤科学研究ユニットとは

「生存基盤科学研究ユニット」は、人類の生存と社会、環境の維持にかかわる問題に取り組むことを目的に、既存の部局や研究分野の境界を越えた学際研究組織として、平成18年に発足しました。発足以来、学内外の研究者の参加を得て、異分野の学際・融合的研究を推進してきましたが、平成23年度には、新設された学際融合教育研究推進センターの構成ユニットとなり、さらに研究を展開しています。

現在、本ユニットは化学研究所、防災研究所、エネルギー理工学研究所、生存圏研究所、東南アジア研究所、地球環境学堂、経済研究所の7部局を参加部局として研究活動を行っていますが、その特徴は、高度に専門化・細分化された現在の研究分野にこだわらず、異分野の研究者が協力しつつボトムアップ型の学際的研究を企画・遂行する点にあります。組織としてのユニットは、このような学際的研究を支えるプラットフォームとして機能していますが、この活動方針は、ユニットが発足 して以来、変わることなく引き継がれてきています。

ユニット発足当時は、主に参加部局からの支援と外部資金に基づく「萌芽研究」「融合研究」「総合研究」 が行われていましたが、平成20年度からの4年間は、ユニットに手当てされた特別教育研究経費に基づいて、「サイト型機動研究」と「萌芽研究」が遂行されました。「サイト型機動研究」では、青森と滋賀で構築された研究サイトとユニットの連携によって、生存基盤科学の主題のひとつである地域密着型の持続可能性について大きな成果が得られました。この研究を通じて、実際のサイトで学際的・俯瞰的な視野を持つ若手研究者の育成も可能となったことも成果のひとつです。

特別教育研究経費の手当が終了した平成24年度以降は、主に参加部局からの支援に基づいて研究を遂行するというユニットの原点に立ち返った運営が行われています。その中で「サイト型機動研究」は、それまでの実績を展開する形で継続されています。これに加え て、ユニットの基本テーマを人類、社会、環境の「寿命」に設定し、このテーマにかかわる「萌芽研究」が展開されています。人類、社会、環境のいずれについても、寿命が存在することは間違いありません。寿命を見据えた上での生存基盤科学の視点は、現在のグローバルな情勢に合致したものです。ユニットは、このような新たな視点も加えながら、人類の生存に資する生存基盤科学 の展開を図っています。